カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す |
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・Kloof Street Swartland Rouge(クルーフ・ストリート スワートランド ルージュ 南アフリカ赤ワイン) ふつうアフリカワインのラベルには動物やら何やらの生き物やら野生的な風景やらが 描かれてるものだけど、Mullineux(マリヌー)のこのワインのラベルは 夕暮れ時に一瞬見られる不思議な色合いの青空のような、淡い青の地に 控えめな金色で文字が記されているだけ。 そこがいい。 味は濃厚。空に憧れる土の浪漫と情愛、いささかの辛苦。 |
先日は、ケッセル の短編「十字架」を載せて、 その末尾に、ケッセルの代表作「昼顔」は堀口大學が 訳している旨、書きましたが、 堀口大學という人は、まだ評価の定まっていない同時代の新進作家に いち早く目を付け、その若き才能あふれる作品を訳すのが 好きだったようです。 ケッセルの「昼顔」も戦前に訳して発禁処分を喰らってるわけだけど、 堀口大學が目ざとく見出して、訳出して紹介した詩人の例としては、 やはり、ジャン・コクトーが有名でしょうか。 そういう意味で、堀口大學は名伯楽といっていいでしょう。 一方、当ブログに引用した「十字架」を含む短篇集『赤い草原』を訳している 田辺貞之助でありますが、 この訳者は、ユイスマンス、ゴーティエ、サド、バルビュス、モーパッサンなど、 世紀末的・幻想怪奇的・頽廃的・異端的・露悪的な作家の作品を翻訳した人で、 シャトーブリアンや『ポールとヴィルジニー』といった古典的精華も訳していたりするし、 ことわざや風流故事・艶笑小咄関連の著書もいろいろあって、 怪奇オカルト異端自然主義風俗浪漫文学界隈ではお馴染みの存在であります。 (バルビュスはケッセルと同じく、かつては一世を風靡したものの、今では忘却されたに 近い作家であるけれど、コリン・ウィルソンの指摘を待つまでもなく、 きわめて重要な作家であり、我が親愛の作家でもあるので、 田辺貞之助訳のバルビュスを当ブログにそのうち必ず載せます。) という堀口大學と田辺貞之助でありますが、 この異質な2人の翻訳者が、ケッセルを交叉点にして 交わっている(堀口も田辺もケッセルの作品を複数訳しているから、 それぞれにとって思い入れのある作家であったものと思われる)のが、 じつに興味深いのでありまする。 ケッセルの流転と浪漫にそれぞれがそれぞれに 魅せられたのでありましょうか。 というわけで今回は、堀口大學自身による詩の佳什を 引用してみることにします。 では。 堀口大學『砂の枕』(第一書房、岩谷書店刊)より 詩集砂の枕
慇懃
砂の枕はくづれ易(やす)い 少女(をとめ)よ お行儀よくしませう 沢山な星が見てゐますれば あらはな膝はかくしませう
巴里の気候 東京の気候 行衛も知れぬ女たちよ 君等の住所を誰にきかう? 消え行く虹よ 遠い小鳥よ 君等は私の心に住むが 私は君等の行衛を知らぬ 何所(どこ)の郵便函(ポスト)に手紙を託(たく)さう? 虹ならば消えよう 小鳥ならばかへつて来(こ)よう 消えぬ恋人よ 帰へらぬ女よ 何所へ行つたら君等に逢へよう? 巴里の気候 東京の気候 行衛も知れぬ女たちよ 君等の住所を誰にきかう?
お前の足もとに跪づいて 何と拷問(がうもん)がやさしいことだ 愛する女よ 残酷であれ お前の曲線は私を息(いき)づまらせる ああ 幸福に私は死にさうだ
人がお前のばらを 盗むのがおそろしいなら 少女(をとめ)よ ねむつてはいけない ねむつてはいけない 五月はゆく 麦はみのる ばらの季節はすぎる 少女(をとめ)よ 人はお前のばらを 盗まなかつた 少女(をとめ)よ お前は泣いてゐる 今ではお前がねむつても 人はお前のばらを盗まない お前は泣いてゐる ばらの季節はすぎた
犬は忠実な動物です 決して他言はいたしません おしやべりの鸚鵡をしまつたら 奥さん 首飾はおとりなさい
それはシャンパンの泡ですね 奥さんあなたの口紅が 私の唇を紅くした その場かぎりの恋ですね それはシャンパンの泡ですね
飴屋さん 飴屋さん 心臓を一つおくれよ 五銭のを一つおくれよ 埃だらけの しわだらけの 店(たな)ざらしはいやだよ 出来あひは可哀相だよ おれはまだ初恋だよ すまぬことだがせめて おれの寸尺に合せて 一つこしらへておくれよ 君の手あかとつばきは それは大切だよ 忘れぬやうにし給へ それが君 先(さき)になつて 運命と宿世になるのだ 内側には粉をぬつて ちよいとよしの棒をはさんで さあ息(いき)を吹きこみ給へ もつと息を吹きこみ給へ 皮の薄いほど感受性は強いよ もつと息を吹きこみ給へ あんまりいきんで吹いたので ぽうんと音がして 飴屋が破裂して消えてしまつた 飴の心臓も一緒に
私の心は曇つた日の空だ 時に燕のやうに一人の少女(をとめ)が そこに輪をかいて舞ひ上るのだが 燕は黒い服を着て かなしげに鳴くのだが クレオパトラ
若草いろの炎(ほのほ)とや へらへらと繊(かぼそ)かりけり 無花果(いちじゆく)の葉になど住まん ナイルの泥の糸みみづ クレオパトラの死の蛇
恋には英雄も性(しやう)がないのです ナイルの泥水(どろみづ)に釣(つり)を垂(た)れて 今日もアントニウスは日を暮しました クレオパトラを思ひながら 棒鱈を釣りながら
シンダス川の夕ぐれだ アントニウスの陣営に クレオパトラは逢曳(あひびき)に行くのだが 白鳥の舟をめぐつて おびただしい睡蓮が流れます ![]() Arturo Souto, Paris at Night 堀口大學は父が外交官であった関係もあり、 若い頃外国のあちこちで十余年すごしたのだけれど、 外遊からの帰国後、 大正15年(1926年)に刊行された『砂の枕』は、 収録作の殆どがブラジル滞在中に成ったものである、 ということです。 『砂の枕』にはまだまだ引用したい詩が、 たんと御座いますので、 そのうちまたこのつづきを 載せようとおもいますので、 御贔屓のほど宜しくお願い申し上げます。
by caffe-san-marco2
| 2023-06-18 08:39
| 詩
|
Comments(2)
はじめまして。
堀口大學は「シャンパンの泡」が好きで以前から興味がありました。日本人の感覚ではないと思っておりましたら、お父様が外交官だったのですね。 短いけれど美しい詩ですね。
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> まりあんぬさん
コメントありがとうございます。 堀口大學は『ドン・キホーテ』も訳しておりますね。 フランスだけにとどまらないスケール。 堀口自身による詩も乙な味わいがあります。 当ブログには、イタリアの才人ダンヌンツィオの戯曲『死市』を 堀口大學が訳したものも載せておりますので、 https://neauferretcineres.exblog.jp/33879737/ https://neauferretcineres.exblog.jp/34156441/ ご覧いただければ幸いです。 ロシア文学の名訳者、神西清が書いた小説なども載せたいと思っているのですが……。
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